塗膜剥離はなぜ起こるのか?

塗膜剥離はなぜ起こるのか

既存建物の塗装工事に於いて特に問題なのが、屋根材のコロニアル・カラーベストの塗り替えの場合に集中して発生する塗膜剥離です。


現実に塗装してから2年も過ぎない内にその状況は起こります。

何故それらは起こるのでしょうか?

◎原因の第一は

原因は色々と考えられます。

まず第一には、洗浄を徹底していないことです。
長い年月を経過したコロニアル系にはカビやコケがこびり付いており、また脆弱層(劣化して剥がれやすくなっている部分)もあるので、それらを取り除かなければならないのです。

 その除去作業をする為に、メーカーであるKペイントが開発した 『Tノズル』と『K式首振りランス』を併用することによって、無理な姿勢をとることなくガン先とコロニアル(屋根材)を適性角度(90°前後)に保つことが出来、Tパワーを劣化層にぶつけることが出来るのです。
T水圧研削工法
これが Kペイントの 『T水圧研削工法』と呼ばれる高圧洗浄の方法です。

◎第二の原因は

 下塗り剤自体が適切でないか、或いは塗り方が充分でない為、コロニアル系基材に対する下塗り剤の浸透と密着が十分になっていない時に起こります。

 メーカーであるKペイントは油性の『Mシリコンプライマー』を塗布して対処しています。

◎第三の原因は

中塗り、上塗りに水性の塗料が使われている場合です。

先程も書きましたが、メーカーでは油性の『YMシリコン』を2回塗りして水を強力に弾き、艶や色を長く保ちカビやコケが生えにくくしています。

以上がKメーカーが提案する一般的な施工方法です。

◎現場での私の指示

これに対して私が現場担当で施工業者に指示する時に、異なる所が1箇所あります。

それは下塗り剤を2回塗りすることです。
1回塗りでも完璧にやれば良いのですが、塗りムラや隅々迄塗られていない場合が往々にしてあり、それが塗膜剥離の大きな原因の1つなのです。

◎ 『下地塗り2回』のきっかけは

 ところでこの 『下地塗り2回』で施工する事になったきっかけは、8年前に遡ります。実際にあった事ですが、今は個人情報保護のため仮名とします。

 この時の御施主様はK様という方で、コロニアル系販売店の役員をしており、縁あってコロニアルの屋根と窯業系外壁の塗り替えの仕事を頂いた時の事です。

K様は自分達の会社のコロニアルという商品が、塗り替えしなくとも良い製品であるという事を証明する為、21年前に新築した時に玄関の外に台を作って、実験用見本としてコロニアル1枚を置いてありました。

そしてK様は、どんな業者が訪問しても玄関脇の台に置いてあるコロニアルを見せて、『この通り21年間何ともないんだから、塗り替える必要はないんだ!』と言ってことごとく追い払っていたそうです。

そのK様を口説き落として塗装工事を行なった時の事です。

 まず2階のコロニアルを、一般的な下塗り・中塗り・上塗りの3工程で塗り終えた後にK様から、『コロニアルのザラザラ感が目立つので、上塗りをもう1回やってくれ』と言われたのでその通りにして、結局下塗り1回・仕上げ剤で3回の合計4回塗りを行ないました。――――にもかかわらず、その仕上がり状態を見てK様は満足した様子ではないのです。

 それを見て私は、
『1階を塗る時には下塗りを2回、仕上げ剤を2回の合計4回塗りにしませんか?』と提案したところ了解して頂き、施工した結果大変喜ばれました。

◎仕上よりも下地処理が大事

塗装工事に関しては表面の仕上も大切ですが、もっと重要なのは見えなくなる部分の下地の処理方法・状況がより大事なのです。

因みにK様からは、後日システムバスの仕事も受注させて頂きました。

◎もうひとつの大切なチェック

もうひとつ忘れてはいけない事があります。

職人さんがコロニアル系を塗る時には、必ず下記の事項を担当者がチェックすべきことです。

それは、コロニアルの下方の部分と軒先部分左右の合わせ目の部分に関しては、コロ(ローラー)だけで行ないハケを使わない業者がいますが、ハケを使わなければ必ず剥がれの原因になります。
これらの箇所は、必ずハケを使って塗り残しがないように、隅々まで完全に塗らなければなりません。
これがコロニアルの塗り方のキーポイントなのです。
コロニアルの塗り方のキーポイント

◎足場はサービスです!・・・は要注意

 こんなチラシを見かけますが、足場工事は施工時の安全性・塗料の飛散防止の他に、先述しましたが軒先や妻部分の施工には欠かす事の出来ない大切なものなのです。

部分的な簡易足場だけでは対応出来ないのです。

足場工事は施工時の安全性・塗料の飛散防止

◎浅学菲才の身を顧みず

 私の知っている限りの塗料について説明しますと、一般的に使われる塗料としては、アクリル・ウレタン・シリコンの順に耐候性が良くなり、更にその上にはフッ素とかセラミックというような高級(?)な仕上材もあります。

 既存建物の塗り替えの時

屋根には油性のシリコン
外壁にも油性の塗料で提案しますが、外壁には特に
ウレタンをセラミックで包んだ 『セラMレタン』か、
シリコンをセラミックで包んだ 『セラMシリコン』か、
フッ素 をセラミックで包んだ 『セラフッ素』のいずれかを提案します。

◎具体的に説明しますと

具体的に説明しますと、
『セラMレタン』という塗料は弾力性のあるウレタンを、セルフクリーニング機能(塗料自体が汚れを落とす働き)があるセラミックで包んだ塗料で、塗膜の中央に弾力性のあるウレタンを入れることによって、セラミックの割れ易いという欠点を解消した、言わばいいとこ採りの塗料です。

 因みに床面積40坪くらいの住宅では、『セラMレタン』から『セラMシリコン』にレベルアップすると価格は7万〜8万円くらい上がり、更に 『セラフッ素』になりますと 『セラMシリコン』より20万〜25万円価格は上がります。

 私はお客様から「最高級の塗料で見積もってくれ」と言われた時には、外壁は 『セラフッ素』で提案しています。

 これまで 『セラフッ素』で何棟も施工してきましたが、色・艶が長期間持続し、汚れやカビ・コケが付きにくいのでお客様には大変に喜ばれました。

◎お客様と話す中で

【例1】
泉区にお住まいの方から見積もり依頼があった時のことです。
お客様曰く、
『この業者は私の系列会社で、30%引きの見積もりを出してきているんですが、私はグレードの高い塗料を使って最良の塗り方をして、しかも安くやってくれる業者に頼みたいんです』との話でした。

 例によって私は、コロニアルの下塗りは2回塗りで提案しましたところで、お客様の了解を得て見積もりを見せてもらったところ、その業者は下塗り・中塗り・上塗りの区別も無く、屋根面積に単位を掛けただけのものでした。

 私は『この見積もりには、下塗りをやるとは書いてないのでやらないかもしれないし、やったとしても1回だけで2回塗りはしないと思います。下塗りを1回だけにすれば、その分安くなりますけど―――――いかがしますか?』と言いましたところ、『いや、最良の塗り方でやってもらいたいので、下塗り2回でお願いします。』との事で弊社に決めて頂きました。

【例2】
お客様から屋根(コロニアル)と外壁の見積もり依頼があり提出した時に、
『別の業者は屋根・外壁とも下地塗り2回、仕上げ2回の計4回なのに、片倉さんは屋根は4回なのに、外壁は下地1回・仕上げ2回の計3回なのですか?』――― と聞かれた時に、『屋根は夏は高温の直射日光に晒され、冬は厳寒の氷が付着している状態が毎年繰り返されますが、外壁は屋根の庇がある関係で、屋根ほど傷みは少ないのです。従いまして私の経験で屋根下地は2回必要ですが、外壁は1回で充分です。その分総額は安くなっている筈です。』

 何でもかんでも数多く塗れば良いというものではなく、状況により提案すべきだと私は思っています。